2024年度卒業礼拝「主がわたしと共にいてくださるから」
2025年3月4日(火) 関東学院六浦小学校卒業礼拝
聖書 詩編23編 ヨハネによる福音書 10章14〜16節
メッセージ 「主がわたしと共にいてくださるから」 関東学院教会牧師 髙橋彰
「わたしは良い羊飼いである。わたしは自分の羊を知っており、羊もわたしを知っている。」
ヨハネによる福音書 10章14節
まもなく卒業を迎えるエズラ・ネヘミヤ組のみなさん、おめでとうございます。みなさんの小学校卒業を、保護者の方がたと、そして教え導いてくださった教職員の方がたと一緒に、神さまのみ前で感謝の礼拝をささげて共に祝えることを心から感謝いたします。
わたしは、みなさんが今集われたこの大学礼拝堂で毎週日曜日に礼拝を続けている関東学院教会の牧師です。わたしはこのチャペルで礼拝する人たちに、くり返し、お話ししていることがあります。それはこのチャペルは「和解」と「平和」のしるしの場所だということです。
今から79年前、戦争に負けて焼け野原になった横浜の地で、関東学院は学校を再開します。その時に、今皆さんがいる六浦校地の広い敷地を借りて始めることになりました。関東学院教会はその始まりの時期に礼拝をはじめました。数年後、アメリカから遣わされた宣教師がたが「戦争とは勝った負けたではなく、どちらの国も悪いことをしてしまったのです。神さまの前に悔い改めて、仲直りをさせてください。荒れ果てた日本の社会を立て直すために、キリスト教と聖書を土台にした学校を作って、日本の未来を担う若者たちを育てるために協力しましょう」と呼びかけてくださり、アメリカの教会のたくさんの人びとから莫大な募金が送られ、関東学院はこの土地を買い取ることができたのです。この六浦校地で学ぶ人たちは、この場所が戦争で敵として戦ってしまった日本とアメリカの仲直りと、共に未来の平和を造り出そうという祈りの具体的なしるしの場所だということを忘れないでほしいのです。この六浦校地で学んだみなさんには、学んだことを活かして、ぜひ世界で平和を作り出すために知恵と力を尽くす人になってほしいです。
今年度、6年生の聖書の授業で一年間みなさんと共に学びをさせていただきました。詩編を取り上げて学んできましたから、この礼拝でも詩編を一緒に読みたいと思いました。
詩編23編は、神さまを羊飼いに、自分を羊に譬えて語っています。信頼できる羊飼いが導いてくれるから、羊は安心して安らぐことが出来ます。そしてどんな道をゆく時も怖れないで羊飼いと一緒に歩んでいきます。5節では「あなたはわたしに食卓を整えてくださる」とあります。主は先回りして私たちの行く先でちゃんと用意してくれているものがあるということです。同時に「いつもわたしを追う」とあるように、後ろから背中を支えるようにして押し出してもくれるのです。「主の家にわたしは帰り」とあります。みなさんは小学校を卒業して新しい道を進んで行くわけですが、神さまを信頼して歩む人の道のりは、いつも「帰(かえ)り路(みち)」なのだと書かれています。知らないところに向かって一人で歩いて行くのと、帰れる場所があって待っていてくれる人がいる帰り路とは、全然違う気持ちで進んでゆけるのではないでしょうか。どうぞ神さまを信頼して、神さまが迎えてくれるところへの帰り路を安心して進んでいってほしいです。聖書の言葉とお祈りがわたしたちを神さまにつないでくれます。神さまを信頼することを忘れそうになった時には、どうぞいつでもこの場所に戻って来て、礼拝に参加してください。ここは関東学院で学ぶ人たち、働く人たち、そして卒業生のあなたがたや家族の人たち、だれでも来て、神さまと出会うことが出来るように「教会」があるのです。神さまを礼拝し続けている教会も、いつでもあなたのことを待っている場所です。
イエスさまも詩編23編の歌を知っていたと思います。思い浮かべながら「わたしは良い羊飼いである」と言われたのでしょう。イエスさまは羊のためにご自分の命(自分のプライドや利益や都合も)を捨てて、羊を招き導かれました。イエスさまを信頼するとき、わたしたちは詩編23編の羊のように安心してすごせるのです。
詩編23編を読んでいると、羊は一匹のように思えます。けれどもふつう羊は一匹で過ごすということはありません。羊は群れで過ごします。羊という名詞は単数も複数形も一緒なのです。羊の周りには同じように良い羊飼いのもとで安心してすごす仲間がいるのです。自分が独りぼっちに思えてしまう時、羊飼いがいてくれることを思い出してください。そしてよい羊飼いのもとに一緒に集められている仲間の羊がいるのも見つけることが出来ますように。願わくは、エズラ組、ネヘミヤ組のみなさんがお互いに、同じ羊飼に招かれた羊として、励まし合い、助け合って歩んでくださることを、わたしたちも願っています。さらにイエスさまが「ほかの羊もいる。・・・こうして羊(たち)は一人の羊飼いに導かれ、一つの群れになる」と言われるように、みなさんが新しいところで、神さまが引き送り出されることに自信をもって進み出して欲しいと願います。最後に詩編のこの言葉で皆さんを送別します。
主は御名にふさわしく、わたしを正しい道に導かれる。
死の陰の谷を行くときも、わたしは災いを恐れない。
あなたがわたしと共にいてくださる。