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2022.11.22在校生

収穫感謝礼拝

六浦小学校では、児童が果物を持ち寄り、関東学院教会牧師、本校聖書科非常勤講師の高橋彰先生をお迎えして収穫感謝礼拝を捧げました。

持ち寄った果物は近隣の施設にお届けし、感謝を伝えました。


2022年11月22日 (火) 収穫感謝礼拝
聖書 マルコによる福音書10章45-52節
説教 「道ばたに」  髙橋彰(関東学院教会牧師)

おはようございます。きょうは「収穫感謝」礼拝です。

このお祝いは今から400年前に起きた出来事が始まりです。ヨーロッパのイギリスという国にいて、自分たちで自由に神さまを礼拝することが許されずに苦しめられていた人びとが、自由を求めて、船で海を渡ってアメリカ大陸にたどり着きました。その人たちはピューリタンと呼ばれます。神さまを信じて、勇気を出して新しい場所へ行った人たちの子孫が日本にもやってきたのです。わたしたちの小学校にもつながっているのです。

ところが、11月に海を渡って、12月にアメリカに着いた100人ほどのたちは、寒い冬を越すのにとても苦労して、なんと半分の人たちが亡くなってしまいました。野菜の栄養が足りなかったのです。困難なことが起こった時、先に命を落とすのは、弱い立場の人たちからです。

春になって、人びとは畑を耕そうとしました。その時に、元々その地域に住んでいた人びとが種を分けて、畑を作るのを教えて助けてくれました。おかげで秋にはたくさんの収穫を得ることができました。そこで、ピューリタンの人たちは、お礼に先住民の人たちを招待して、神さまに収穫を感謝する礼拝と、感謝のパーティーを一緒に行ったのだそうです。この感謝と分かち合いの心を大事に受け継いで、わたしたちも毎年収穫感謝を行っているのです。

ところが、残念ながら、感謝と分かち合いの仲良しの関係は長く続きませんでした。ピューリタンの人たちや後から次々やって来た人びとは、先に住んでいた人たちをいじめて、追い出して、多くの土地を自分たちのものにしてしまいました。弱っている時には助けてもらったのに、元気が出て、強くなったら、今度は意地悪をしてしまうのです。自分たちも元いた町で意地悪をされたから逃れてきたのに、新しい街に来たら今度は自分たちよりも弱い力の人たちをいじめて追い出したのです。人間というのは、神さまにつくられたよいものですが、わたしたちの中には、弱さをおそれて嫌ったり、強さを求めたり、強い力を持ったらその力で弱い人を見捨てたり、意地悪して攻撃してしまう、罪深い心もあるのです。

だからこそ、収穫感謝の記念が大切です。わたしたちのいのちも、豊かな実りも、自分の力だけではありません。たくさんの人びとや大地の働き、神さまの恵みで生きていることを感謝して、他の人と一緒に分かち合うことが大事だからです。

たくさんの果物が並んでいます。ここにある実はみんなきれいな形をしています。どうしてでしょうか?選ばれているのです。木に実っても、形の悪いもの、崩れたものや傷んだものは、捨てられてしまったりします。先週わたしは芋掘りをしました。畑から出てくるイモは、本当にいろんな形や大きさなのです。でも、売れるのはきれいな形や大きさのものだけ。残りのものは、捨てられてしまったりするのです。果物の実もそうです。先に落ちてしまったものはそのまま道端に転がったまま忘れられていたりします。

果物だけでなく、人間のいのちも、同じだったらどうでしょうか。
イエスさまがエリコという町にやってこられた時に、たくさんの人たちが喜んでイエスさまを迎えました。町を出る時も、イエスさまが通られる道には人がいっぱい集まってきます。そのとき、道ばたから叫ぶ声が聞こえました。「ダビデの子イエスさま、わたしを憐れんでください!」。バルティマイという名前の人です。彼は目が見えませんでした。だから、いつも道ばたに置かれて、道を自由に通っていく人たちがいたら、声をかけて、恵んでもらっていたりしたのです。でも多くの人が通り過ぎていきます。イエスさまが来られたと聞いて、バルティマイは願いを込めて叫びました。イエスさま!わたしを助けてください、と。道にいた多くの人たちは、「うるさい、おまえは黙れ!」とりました。道ばたに落ちて出てしまった実のように、お前はもう役に立たないから黙っていろ、そんな風に思った人がたくさんいたのです。

ところが、イエスさまは立ち止まられました。道ばたで叫ぶいのちの声をちゃんと聴かれたのです。イエスさまは「あの人を呼んで来なさい」とお弟子さんたちに言われました。連れて来られたバルティマイにイエスさまは「あなたは何をしてほしいのですか?」と尋ねました。勝手に決めつけないで、バルティマイの声を、気持ちをちゃんと聞いてくれました。バルティマイは言いました。「先生、目が見えるようになりたいのです」。イエスさまは「行きなさい、あなたの信仰があなたを救った」と答えてくださいました。なんとバルティマイは目が見えるようになりました。そして喜んで、イエスさまと一緒に道を歩み出しました。

道ばたに落ちた実はもう役に立たない価値のないものだと、多くの人は見捨てて忘れていました。わたしたちはどうですか?弱いとか、形が悪いとか、もう役に立たないとか、一人一人のいのちを考えてしまっていませんか?イエスさまは道ばたの1つのいのち、忘れられたいのちを見つけて生かしてくださる方です。そのイエスさまが今もわたしたちと一緒にいるのですから、わたしたちも、一人残らず共に、収穫の感謝や恵みを分かち合う友になりたいと思うのです。

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