関六小の変化 2024年度からの新しいパレット・タイム
校長の小さなつぶやき(34)
「関六小の変化 2024年度からの新しいパレット・タイム」
◆パレット・タイムとは何?なぜ?: 2024年度から毎日、お昼休みのあと5時間目の前に20分間、パレット・タイムを設置しました。狙いは大きく2つです。
*1つ目は、学習の自走力の育成です。内発的な動機で向かう学習の方が理解や習得が進みます。その効率や効果の高さを自覚すると、受動的ではない積極的な達成感を持ちます。その達成感が次の学習動機を引き出します。相乗的に自学での自走力を育んでいきます。その自走力は探究することへの意欲に繋がります。そして、探究する意欲は調べ学習とは違ったレベルでの自発的な課題発見力とその意欲、そして解決力とその意欲を育てます。自発的課題発見力と解決力は、変化が大きくVUCAとも言われる未来社会に必要な力です。言われたことをする、食べ物で言えば自分で考えずに食べさせられるままに食べるという従来の学習方法では自走力が育ちにくいのです。
*2つ目は、次の授業へ向けた脳内環境の準備です。関東学院六浦小学校(関六小)は、始業前の朝遊びが禁止されている小学校が多い現実の中、グランドでの自由遊びは朝もOK。昼休みはもちろんOKです。汗だくで遊ぶ子どもたちが多いのが自慢で教育の方針でもあります(理由はまた別の機会につぶやきます)。でも、適切な行動と気持ちへの切り替えが大事です。朝は毎朝の礼拝で自分の心と向き合う時間が与えられ、落ち着いて1時間目になります。5時間目は昼休みのあとのパレット・タイムでクールダウンです。最近の科学では、運動時の脳内の血流は身体の様々な生理作用を受けて大きく変化しているということで、パレット・タイムでは学習に向けて落ち着かせるという効果を考えています。
◆展開されること: それでは、パレット・タイムでは何をどうするの?です。学年やその時々によって様々です。特色として3つ示します。
*例えばある日の2年生。ICT環境をフルに生かして、e-learning教材でそれぞれが自分で教科や学習個所を選んで学んでいました。選ぶのは得意だから?苦手だから?それを含めて個人別のオン・デマンド学習、「学びの個別最適化」による自走化への策です。
*5年生は「宿題が複数出ているのでこの時間に宿題に取り組みたいのなら取り組んでよい」とされていました。子どもたちは下校後の過ごし方を自分で考え、自分で意思決定するということになるわけです。主体性と自分で責任ある判断をする力を育てることになります。一般的に学校の授業では、基礎基本レベルはスモール・ステップ方式で学ぶこと(行動主義的学習法…塾での学習ならなおさらで、段階的に与えられる教材をこなすことによって効果を合理的に引き出す方法)が多いですが、主体性の育成の観点はありません。
*さて、4年生。算数の授業でさらに考察を深めたい事柄についてグループで意見を交換しながら共同する学習でした。これもパレットの特徴でしょう。知恵の出し合い、知らないことの聞き合いと教え合い。対話型の共同学習では、知識や理解での自分と周囲とのギャップも認識します。その認識の仕方は内的な学習動機を否定的にではなく呼び起こします。
◆獲得する力: 以上のような狙いと展開で毎日。獲得させたいのは未来に必要な力です。このシステムでの成果物は、認知力を支える非認知能力の育成です。つまり、アカデミック・スキルや教養を獲得したり発揮したりするための、やる気や根気の育成に繋がります。毎日20分は小さくはない効果を生みます。どうですか?関東学院の六浦小学校の新しい学習観の実践、具現化と内実化です。