「これがなかったら、リカちゃんは卒業してた・・・」
校長の小さなつぶやき (11)2022年8月30日
「『私のポケット』は未来に備える学びのプラットフォーム」
とてもうれしい言葉を聞きました。
「これがなかったら、リカちゃんは卒業してた・・・」
今回(8/27土)の学校説明会では、本校の特色の六浦小学校教育モデルプログラムを紹介させていただきました。その中の「私のポケット」について、6年生女子のHさんとNさん2名に研究を紹介してもらいました。自由なテーマでの探究的な学びです。2人ともとても立派な内容で深い学びの発表でした。
Hさんは自分のプレゼンテーション・スライドで「人や動物の体のしくみ―怪我した時、体の中で起きること」がテーマ。血小板の働きをまとめていました。最後の質問の「これからについて」には、以前に研究したハムスターと絡めて、「ハムスターの血液のことを調べていきたいです」と答えていました。なるほど、ポケットは深く続く・・・か。すごいものです。
学校説明会で児童や生徒が登壇する際は、緊張に備えて、その子の答えや言葉にそった(やらせではない)シナリオ立てが普通です。本校もそうですが、今回は少し違いました。Nさんの発表の「リカちゃんの歴史」。発売55周年を迎えたタカラ・トミーのリカちゃん人形。Nさんもスライドでその変遷を説明。すると最後に、司会進行の教員は予定外の(打ち合わせなし)の質問をしたのです。
「とても楽しそうに発表してくれましたけど、では最後に、『私のポケット』の楽しさって何かを聞かせてもらっていいですか?」
担当教員は思わず質問したようです。それも突然。大人にも難しい質問だなぁと思いました。ところがNさんは間髪入れず、にこやかに答えました。
「えーっと、自分の好きなことをずっとやっていける素敵な時間だと思います。リカちゃんは・・・私はずっと好きだったので、こういう時間があったから・・・・・・。やっぱり・・・たぶん、これがなかったら、もう・・・卒業してたりとかしてたと思うんですけど。やっぱり(調べてみようと思ったのは)それはポケットのおかげだなぁと思ってます。」
六浦小学校教育モデルプログラムの中の「私のポケット」の授業は、毎週1時間で1年間継続する自由研究です。それぞれが関心をもっていることを調べたり、観察や体験を重ねたり、作り上げたりする探求と創造の活動です。自分自身の興味を精一杯論理的に科学的に深めていく、客観化してゆく、そして、その活動をまとめていく、作品として完成させる、成果として記録する。次の学びと探求へのきっかけに…と願う学習活動で、自己啓発力を自分で育むプログラムです。2人の答えはそれをまさに表したものでした。
単なる「好き」や「関心」、「得意」を超えて何かが生まれます。何らかの形で学術化を経験します。あらためて知ったことをこれまでの知識とすり合わせて整理し、論理的に分析し、自分の言葉で言語化します。その活動が「私のポケット」です。子どもたちが生きる未来に、大きく変化する社会に必要な力の基礎を育む学習活動です。