マラソン大会の進化『ランニングフェスティバル 第69回マラソン大会』
校長の小さなつぶやき(45) マラソン大会の進化『ランニングフェスティバル 第69回マラソン大会』
11月20 日。空は澄み渡り、空気は少し冷たいけれど雨上がりで新鮮。晩秋の香りがやさしく漂う野島公園。今年から、「第〇回マラソン大会」の前に名前が付きました。子どもたちが3つの候補の中から選んだ名前は、『ランニングフェスティバル』でした。
『ランニングフェスティバル』に込める意味は、「みんなで走ることを楽しみながら、自分の力にちょう戦する1日…速さだけでなく、自分のペースで最後まで走りきることを大切に…走っている人を応えんしたり、声をかけ合ったりすることも、フェスティバルを盛り上げる大事な力…みんなで声をかけ合って、学校全体がひとつになれる、そんな楽しい行事に…」。
他の2つの候補と込められた意味に決定的な違いがあったのでしょう。子どもたちは何かを嗅ぎ分けたのです。選んだのは、『フェスティバル』でした。
今回からは選んだ距離を走る大会です。約束は、自分で選ぶこと。どの距離がいいんだろう。どの子にも心の中でのぶつかり合う思い、葛藤があったはずです。「自分にふさわしい距離って?ムムム~。」チャレンジしたい気持ちと色々な気持ちが引き合う。そうして自分で決めた距離で頑張る。ここに、自律心を育てる高い教育的効果も期待しました。ランニングが得意で上位入賞を目指す子どもにも、学年横断での一緒の「レース」になるのですから緊張感もある。そうです。子どもたち各々が自分と素直に向き合い、そして自分の達成感を得ることを目指しました。
「距離が同じだとしても、決められた距離を走るのと、自分で決めた距離を走るのとは違いますよね。」 「子どもにとって自信を失わせない取り組みですね。」保護者の皆さんも異口同音に、しかしそれぞれの理由で、「自分が選んで走ることはとても良い」でした。

学校に戻って、愛情溢れる美味しい豚汁を食べて大満足の子どもたち。訪ねて覗く教室では、成果を自慢げに話してくれる子もいれば、満足感いっぱいに語ってくれる子もいる。3年生以上は、クラスの仲間が違う3つの距離を走る。6年生などは4つ。この距離の違いは、子どもたち個々にとってとても望ましいことでした。終わってニコニコがあふれていました。そして同時に、もう一つ素晴らしいことがありました。各学年がそれぞれ一斉で一緒に走っていた去年まではできなかったこと・・・クラスの仲間がお互いに応援することでした。予想を超えて集団的な教育効果も深くあったのです。

「校長先生! 友だちを応援したよ、ランニングフェスティバルだったし。」と、ある男の子。
ところが校長も人間。教室中の圧倒的な豚汁の香りに空腹が刺激される方が強く、そのとき、この言葉を深く受け止められませんでした。翌朝、職員から「あるお父さんが、『子どもがお互いに、違う距離を走るクラスの友達を応援できるのがよかったです』とおっしゃっていましたよ。」を聞いて、愚かにもここで気づいたのです。
お互いの違いを知りつつ、でもそれを意識せず、クラスの仲間の頑張りを互いに応援し合える全く違ったマラソン大会になった! なるほど…だから、「ランニングフェスティバルだったし」なのだ!!
子どもたちが選んだ名はこの意味に繋がっていたんだ!!!…新鮮な気づきでした。