あらためて・・・未来を見据えて
校長の小さなつぶやき(44) 「あらためて・・・未来を見据えて」
オープンスクールで来校された方から、帰り際に『校長の小さなつぶやき(40)「未来から2025年を眺めて」』(2025.05.19)を読んでの感想をいただきました。
「『子どもが小さい時には未来は遠いと考えがち・・・現実の諸事情に囚われがち・・・子どもが生きる時代は予想を超える変化の時代・・・』が刺さりました。『教育とタイムライン的意識』とか、未来に何かを予想はできても、現実的な体感が無いから未来への準備が甘くなる、ということが、子どもの教育を考える中で落ちていました。時代が大きく変わることをもっと真剣に考えなくてはなりませんね…」
六浦小学校が自ら感じていることとして、「朝遊び・昼遊び・放課後遊び」や一年間の探究型(総合)学習の「ポケット」などの教育プログラムは、PRの比重がちょっと大きすぎるかなぁ、もっと何のためかをきちんとアピールしないとだめだなぁという懸念がありましたが、救われました。

遊びや探究型をPRするのはきちんとした理由があります。端的に未来への備えなのです。大きく変化する未来社会で求められるのは、「自律性」や「主体性」、そしてそれらに裏打ちされる「創造性」です。それらの土台となる力を育むのは、気づきや発見で、そしてそのことによる自己啓発力なのです。
しかし、それだけでは、伸び伸びしてる子、明るい子で停まってしまうかもしれませんから、「パレット」の時間を毎日用意し、自学を促す「すらら」を取り入れた学習環境を整えています。気づきや発見で動き出すのが知的好奇心。これをアカデミックなものにしていくためには、きちんと基礎基本に習熟することが必要なのです。
でも、こんな風に「学習」の方法を語っていると、もともとの「何のための?」がいつの間にか落ちてしまう…。いただいた質問の方の『小さなつぶやき』への感想はおそらく同じでしょう。
六浦中・高を2019年3月に卒業し、ハワイ州立大学機構のカピオラニCCに進学し、成績優秀で奨学金を得てハワイ大学マノア校、そして大学院に進学した生徒から大学院を修了したとの連絡が入ってきました。「おめでとう!これで世界が活躍の場になりますね。」
マノア校に進学した時に後輩たちに送られてきたメッセージが六浦中・高のHPに掲載されています。「‥‥Ultimately, what I want to tell you the most is that you should try to find what you really want to do and work hard to reach the goals you have established. Even though getting advice from others is crucial, you are the only one who makes your decision right or wrong. ‥‥ (一番伝えたいことは、自分が本当にやりたいことを見つけ、立てた目標を達成するために努力すること。人からアドバイスを得ることは重要でも、自分の決断が正しいか間違っているかを決めるのは自分自身だ。)」とありました。
「自律性」の確かな軸を持てるかどうかが、未来ではとても重要になります。その力の土台こそ小学校で育つと最近は強く言われるようになってきています。ふだん、「学習」と聞けば、見るところは足元になりがちですが、立つべき足もとを近視眼的に求めて極めようとするだけでは不充分でしょう。
VUCAな未来を展望する目とその視野の広さが不可欠です。日本国内が大きく変わってゆく中では、これまでの「安定志向」でのキャリア形成の「進路方程式」が変わりつつあるからです。国内外で活躍できるような柔軟性が間違いなく重要になります。「柔軟志向」でのキャリア形成には「グローバル経験」と「専門性」が必要と言われますが、小学生から先の学びを考えると、この二つの力の素は小学校で育まれる。中高教員の経験がほとんどで、ケージにいれるような育て方での危険を少なからず見てきた小職は、小学校での過ごし方が本当に大切だと思うのです。