校長の小さなつぶやき
2024.05.31

「『のびる』を伸ばす」とは・・・?

校長の小さなつぶやき(35)  

関東六浦小の「『のびる』を伸ばす」を知っていただくために…(教育姿勢の説明として)

 

ホームイメージの「『のびる』を伸ばす」にはご質問が多く、また、その意味は字面だけでは伝えられないものがありますので、つぶやきます。

◆私立の学校には建学の精神があります。関東学院六浦小学校はキリスト教の精神に立ち、校訓に「人になれ 奉仕せよ その土台はイエス・キリスト也」を掲げています。建学の精神と校訓を具体的な行動にする・・・これを児童へ示すため、半世紀以上も前から教育実践の綱領(主義・主張)に表してきました。その一つが『自分で考え、進んで実行』です。後段の「進んで実行」は、多くの学校が積極性を育てることを旨として掲げる目標の言葉に共通するものです。ただ、前段の「自分で考え」は…です。半世紀以上も前の社会と学校教育のあり方では、個人が集団の中での個であるという意識を重んじ、集団行動での規律遵守励行を尊重し、集団の中での個の役割や責任の自覚などを強調する傾向が強かったですから、「自分で考え」はとても斬新であったと想像します。

 

◆六浦小学校は、古くから「自分で考え」ることをとても大切にしてきた学校です。もちろん、小学校ですからどんな学習でも何事においても、基礎基本の学力、ルールやマナーの習得を大切にします。「自分で考え」ることを全てにおいて優先するのではありません。が、児童とのかかわりや行事設定の理念では、児童には、他者を自分のことのように思いやる心と主体的に判断する力を育てるという考えに立ってきました。基礎基本の習得を大切にしつつも、必要な力として「自分で考え」ることを強く奨励してきました。綱領の『自分で考え、進んで実行』は主体性の育成で、六浦小学校の伝統、大きな特色なのです。

 

◆新しい学習指導要領では、「主体的で対話的な深い学びの視点から学習過程の改善を目指す」とされています。主体的という言葉が前面に登場しました。文科省は、「学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」の実現」を目指すとしています。具体的に考えることが少々難しい内容です。学習活動の多くに共通するのは学齢が低いほど一斉講義形式・知識注入型での学びで、知識の習得には、知識や技能の習得のためのドリルや演習、確認テスト…定型的な学び方での授業が多く行われます。技能的に習熟することが「学習」、習熟の度合いを数値的に計測たしたものが「学力」と見なされてきましたが、この学習観が特に日本では開国以降、大きな戦争を経ても大きく変わらず長い間で染みついていました。ここに変革が求められたわけです。国際人材の養成での脆弱さが見えたからです。

 

◆「『のびる』を伸ばす」。2022年からICT化での一大改革を実行しました。ICT化による学習システムの導入で自ら進んで学びを進める機会を増やしました。「パレット」、「ポケット」、「ドア」で実践を推進しています。子どもたちの深く知りたい、詳しく知りたいという欲求を育むこと。そうした知的好奇心に粘り強く取り組んでいくこと。そのためには子ども自身が「自己効力感」を感じることが大事です。時間的にも環境的にそのモジュールが必要です。毎日20分間の「パレット」を始めたのはそのための取り組みです。「学びの自走化」の推進です。「自走」とは「主体的な学び」を進める力の「基」。そして自走力は継続する意欲や探究の意欲の「素」。そこで自発的に課題を発見する力を育てます。いわゆる数値化できる(成績や評価)「認知能力」を支える「非認知能力」の助長です。「自分で考え、進んで実行」が呼びかけられます。六浦小学校の伝統と特色が現れます。「『のびる』を伸ばす」は、深い意味で、自己効力感と非認知能力を伸ばす取り組みなのです。

 

*自己効力感:自己可能感とも言われることがありますが、自分の能力を信じて自分はできる、やれると感じることです。

*非認知能力:従来の学力テストのようには数値化できない能力の一面です。やる気、忍耐力、協調性、自制心など、行動への動機づけや感情のコントロールの力を含め、社会性に関係する力を総称します。

 

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