ますます「未来につながるちからをはぐくむ学校」へ
校長の小さなつぶやき(38) ますます「未来につながるちからをはぐくむ学校」へ
◆早いものです。2025年も1月が終わろうとしています。日本は後れているとは言え、様々なことでのIoT(Internet of Things)化が進み、またAIの急激な発達のせいで、社会の進化の速さをいっそう強く感じるこの頃です。関東学院六浦小学校は、そうした流れの中で2025年度の新たな取り組みの準備を進めてきています。
関東学院六浦小学校は、2023年度から改善・改革を進めてきました。授業では、ICTをふんだんに活用し、学びを社会に実際に繋ぐ機会を増やしながらアクティブな学びを推進しています。基礎基本の単純な学習でも自己効力感を助長する工夫を施し、子どもたちの学びへの自信を高めています。
放課後の過ごし方と昼休み終了後の「パレット」は、児童と教員の信頼関係の醸成とともに、私立らしい独自性と六浦小らしい独創的な実践となっています。特に昼休みの後の「パレット」の時間(※1)は、本校の特色となりました。「パレット」では自己教育力の増進を目指しています。何の変哲もない、ただ静かな活動の形態ですが、習慣化の中で大切な「主体性」の育成を目指すプログラムです。新しい時代に対応する学び方や学びへの環境づくりだと考えています。
自分で自分を育てようとする環境づくりという意味では、ICTを活用した一つのモンテッソーリ型の学習活動です。モンテッソーリの基本的コンセプトである「子どもはもともと自立的に発達していこうとする力を持つ」という考え方に通じます。モンテッソーリ型は日本では子ども園などが中心で、遊びの環境づくりなどで実践されています。小学校以上になると次第にその考え方や連続性のある実践は鳴りを潜めていきます。
いま、求められていること・・・。小学校はアカデミック・スキルの大切な基礎を技能として学ぶところであっても、その「学び」や「学び方」が、子どもたちが巣立つ11~17年後の社会を見据えて役立つものであること、です。新しい学習指導要領では、「学習」についての捉え直しが説かれています。小学校には「自ら育つ力」の育成が求められています。「主体性」という言葉が前面に押し出されていることの根底にある考え方です。
◆関東学院六浦小学校は、小学校教育で大切にするべき「知りたい」「学びたい」、そして「知ってもらいたい」という子どもの人間的欲求を行動や形にしていく教育が特徴です。自然学校などの体験的で実学的な機会は他と比較しても圧倒的に多く、また、落ち着いた読書の環境と作文教育が特色です。六浦小は校名に「六浦」を冠していますが、この地、六浦で始まった関東学院の小学校教育の源流として、特に作文教育に特徴があります。1年生から3つのカテゴリーで段階に合わせたメソッドを踏まえた「言語化する力」の教育を展開してきています(※2)。
伝統的な教育手法を大切にし、踏襲すべきことは踏襲する。一方で、新しい学びを新しい学びとして進める。ICT環境の活用も家庭学習との連携で「適切」であることから逸脱しないように効果的に進めてきています。日本では遅れているデジタル・シチズンシップ教育も併せて進めています。お陰様で2024年度は転入希望の問い合わせも多く、5年生まで10名のお子さんを迎えました。2025年度4月からの転入にもお問い合わせを頂いております。
◆さて2025年、関東学院六浦小学校は、大きな特色の一つでもある英語教育をさらに前進させる予定です。いまはその「さなぎ」です。関東学院六浦小・中・高は、学校教育法での学校種別では普通の学校である「一条校」ですが、一条校で行う英語教育としては、六浦学校群はとてもユニークでしょう。その連携の一部は小学校から六浦こども園にも繋がっています。英語をツールとして学ぶという観点に徹しています。六浦小学校ではオリジナリティ豊かにソフトなCLIL(※3)で楽しく充実する学びを実践しています。となりの六中・高はIELTSの推進校としての認定を受けることにもなり、文字通り国際語としての英語の習熟に向けた実践的な英語教育を繰り広げています。これからニーズが高まるであろう高校卒業後の海外進学対応の環境も整え、生徒も増えています。
◆六浦小学校は2025年度、高学年の英語教育の改善を進めます。日本は、小学校への英語授業の導入後、高学年の英語授業に課題、特に学習意欲の喪失の問題を全国的に抱えるようになりました。本校では本校独自の教材や内容で子どもたちの「習得への意欲」を失わせないように、自然で、イマージョン的な学びを工夫しています。本校が感じる課題は他校とは別レベルのものですが、さらに改善を進めてCLIL型で達成感のある充実した内容に進化させる予定です。「英語って話せるとおもしろい!」という気持にあふれる教室にしたい、それを学校全体の雰囲気にしたいと考えています。また、いまはまだ構想の段階ですが、授業日ではない土曜の活用(※4)として、英語イマージョンで過ごすプログラムを模索しています。
私たちの願いは、無垢で気づきの多い小学時代に、将来に役立つ深い学びの種をまくこと。学校HPに掲げた「未来につながるちからをはぐくむ学校」の意味です。2025年度を準備中です。
※1: 昼休み終了後のコア時間20分での自学が中心の活動です。時間割的には、昼休みからのクールダウンを狙って、前後の5分を入れて30分となっています。
※2: 作文教育で特色のある東京と神奈川のいくつかの小学校が連携する、夏休み中の合同合宿「まめ記者講習会」では、半世紀にわたって幹事校を務めています。
※3: 学習する内容(教材)と学習で使用する言語の両方を統合的に習得する方法
※4: 受益者負担のプログラムを模索中です。土曜日の午前中の活用で、児童へのTESOL指導の経験豊かなネイティブ講師が担当し、学童保育のような内容での運営を検討しています。