収穫感謝礼拝「みんな生きているんだ、友だちなんだ」
11月18日、児童たちは果物を持ち寄り、収穫感謝礼拝を行いました。
礼拝後、4~6年生の奉仕委員会の児童と教員で、日頃お世話になっている守衛室や清掃の方々に加え、横浜こどもホスピス「うみとそらのおうち」、春光学園、衣笠ホーム、鎌倉静養館、横浜訓盲学院の各施設に果物をお届けしました。児童たちは、感謝の気持ちを言葉だけでなく、行動で伝える大切さを学びました。
聖書:ヨハネによる福音書 6章8-13節
説教題:「みんな生きているんだ、友だちなんだ」 関東学院教会 髙橋 彰
みなさん、おはようございます。
今日は「収穫感謝」を記念して神さまにおささげする礼拝です。
みなさんの目の前にたくさんの果物がありますね。一つ一つの実がなるまでに、時間もかかるし、いろいろな養分やちからが働いて実がなります。一つのいのちが育つのには、多くの助けや協力があることを考えたいと思います。
今日のお話は「みんな生きているんだ、友だちなんだ」という題です。聞いたことがありますか?ある歌の一部の歌詞です。「手のひらを太陽に」という歌で、やなせたかしさんという人が作りました。この歌に出てくるのは、ミミズ、オケラ、アメンボ、トンボ、カエル、ミツバチ、スズメ、イナゴ、カゲロウなど、生き物の中でも小さな、目立たない生き物たちばかりです。この世界に生きているそういう小さな目立たないいのちも大切だというメッセージがあります。この歌を作ったころのやなせたかしさんは、漫画家になりたいと思っていながら思うように仕事がうまくいかないで、とても自信を無くして辛い気持ちでいたのだそうです。そんな自分も大切な命として生きているんだと、自分を励ますような気持もこめられていたのだと、本で読みました。この歌がいいなと思うのは小さな目立たない存在でも大切ないのちだよ「生きているんだ」というだけでなく、「友だちなんだ」と言うところだと思います。いのちは共に生きている、つながりがあるんだよ、ひとりぼっちじゃないよ、というのが大切なメッセージだと思います。
この歌を作ったあと、しばらくしてから、やなせたかしさんは絵本で一つのキャラクターを作りました。それが「アンパンマン」です。お腹がへった人、困っている人のところへ行って、助けてくれるヒーローですが、武器は使いません。そして自分の顔を与えて食べさせてあげて助けるのです。そうすると自分は弱くなってしまいます。もう一度、ジャムおじさんにアンパンを焼いて顔を作ってもらって回復するのです。自分が弱くなりながらも、他の人の食べるものを分け与えて命を助けようとするのです。やなせたかしさんは若い時に戦争を経験しました。戦争で一番苦しかったのは、厳しい訓練や体の疲れ、戦う恐ろしさ以上に、お腹がすくことだったそうです。それだけはどうにも我慢ができないで、とても苦しかったと。戦争が終わった後も食べ物が少なく、みんなが苦しみました。戦争というのはそのように、戦っている時だけじゃなくてその後までもたくさんの人たちが、食べものがなくて苦しみ、いのちを失ったりするのです。そんなことが二度と起きてほしくないですし、今も世界中で、戦争などで食べものがなくて苦しんでいる人たちが一日も早く助けられるように祈ります。
戦争が終わったあと、すっかり人びとの生き方や考え方が変わってしまった日本で、やなせたかしさんはずっと考えていたそうです。どんな時でも変わらない正義ってなんだろう?と。そしてその答えを見つけました。「他の人に自分の食べものを分けてあげること」だというのです。それがアンパンマンのストーリーに繋がっていきました。他の人に自分の食べ物を分けてあげたら、自分の分は少なくなります。でも、どんな時代のどんな人びとの間でも変わらずに、あなたのいのちが大切だよというメッセージです。そして共に生きようとすることです。それは「みんな生きているんだ、友だちなんだ」という歌詞のように、この世界に生きている他の人も自分と「友だち」だ、一緒に生きているんだと考えることなのです。
収穫感謝の祝いは、今から405年前の出来事がきっかけになっています。イギリスという国で、信仰と政治の考え方が違うからと迫害されていた人びとが、船で海を渡ってアメリカ大陸に移り住もうとしました。ピューリタンと呼ばれた人たちです。命がけで、新しい土地で自分たちの町を作ろうとしたのです。ところが、新しい土地は気候もちがうし、着いた季節は秋の終わりでした。寒さと慣れない生活で、冬の間に102人のうちの47人が亡くなってしまったのだそうです。とても辛いことでした。春になる頃、アメリカの地に前から暮らしていた人たちがやってきて、ピューリタンの人たちを助けてくれて、種を分けてくれて、住む場所を確保し、作物を育てることを応援してくれました。秋になってたくさんの収穫がとれました。ピューリタンの人たちは前からその地に住んでいた人たちの応援に感謝してお招きし、一緒に神さまに感謝の礼拝をささげて、食事をしたのだそうです。それが収穫感謝祭の記念、そしてアメリカ大陸で多様な人びとが一緒に生きる国が生まれるきっかけになった大事なストーリーなのです。忘れてはならないお話ですが、残念なことに、その出来事の後、後から来た人びとは前から住んでいた人たちを攻撃して追い出し、自分たちがその土地を全部奪ってしまおうとしていくのです。
どんな時でも、食べ物を相手に分けてあげるということが正義だというやなせたかしさんの言葉は、本当に大切だと思います。今日読んだ聖書の言葉は、イエスさまがたくさんの人びとにパンと魚を分けてくださったお話です。お腹が空いた人びとはイエスさまが分けてくださった食べ物でみんな満腹になったと書かれています。そのパンはどこから来たのか。イエスさまに五つのパンと二匹の魚を差し出した少年がいた、と書かれています。イエス様とお弟子さんたちが話しているのを聞いたのか、少年は自分が持っていたパンと魚をイエスさまにささげました。自分の分だから!と独り占めするのではなくて、イエスさまのために、みんなのために、差し出したのです。イエスさまはその少年のささげものを感謝して、神さまに祈って、祝福して、何千倍にも増やしてくださいました。
わたしたちも、イエスさまが豊かに与えてくださる恵みで今日も生きているのではないでしょうか。そしてもしかしたら、きょうわたしたちが受けた恵みは、いつか誰かがイエスさまに差し出した感謝のささげもの、祈りとつながっているのかもしれません。そんな風に考えながら、わたしたちも神さまにつながり、他の人たちとも「友だち」としてつながってゆきたいと思います。神さまに感謝をささげ、他の人のために自分の思いを、祈りを、できることをささげてゆく人でありたいと思います。「みんな生きているんだ、友だちなんだ」という歌を思い出しながら。
